仕事納めと転職
今日は仕事納めということで半日だけだった。
残った業務を片付けつつ余った時間で机の周りの掃除をした。
来年には転職したいと思っているので私物も持ち帰ることにした。
机の上は前から整頓していたので早めに終わったが
仕事も今始めると中途半端になるのであまり
できないし手伝うこともないので無駄な時間だなぁと思いながら
だらだらと過ごしていた。
そうすると後ろの先輩が「ああ、またか」とつぶやいた。
私の部署で退職する人がいるらしい。
私も知っている人だがあまり野心家ではなく、ずっとこの会社にいるのだろうと思っていたので意外だった。一体どこにいってしまうのだろうか。
私もこれから会社を出ていこうと考えている人間なので転職する人の話を聞きたくもなる。
別業種なのか、別の業界なのか、決めては何だったのか。
インタビューでもしてみたいものだ。
これまでも転職していった先輩、後輩はたくさんいるが、転職がうまくいったかどうかは結局のところわからない。
隣の芝は青く感じるだけで転職しなければよかったと思っている人もいるかもしれない。
同じ寮生だった後輩、自分のやりたい仕事を見つけて出ていった先輩、同期
みんなどうしているだろうか。
連絡をしようと思えばいくらでもつながる手段はあるがそこには見えない大きな壁がある。
多分一生会えないのだろうなと思う。
ところで、わたしが転職を決断するきっかけとなったのは別部署の後輩が辞めたことだ。
その子と私は同じ担当なのだが部署が異なり、何かあれば私を訪ねてこちらのフロアに来ていた。(最近のトラブル案件は彼のがほとんど)
最初にあったのは去年のこの時期だったと思う。
前の担当者が休職でいなくなり代わりに彼が担当することになった。
当時の彼は入社間もなくで、ほんとに右も左もわからない様子で
上も放任状態。もっと言えば担当する内容はもうその子と私しかわからないというなんともカオスな状況だった。
ほんとに困った様子だった。
それを見た私はなんだか他人事のようには思えなかった。
私も過去に仕事が何もわからないまま放置され結局は心を病んでしまったことがある。
もちろん私が悪い。わからないならわからないなりに行動するべきだったし、それが当時の自分ができていなかった改善すべき内容だと思っている。自分のプライドを
捨ててでもその場にかじりつくメンタルは必要だった。100%私が悪い。
しかし誰でもいいから手を差し伸べてほしいと思った。
何も考えずに気軽に相談できる誰かが私の近くにいたら状況が変わっていたのかもしれないと時折思ってしまうのである。
私は彼に「些細なことでも何でもいいから気になったことがあったらすぐに連絡してねなるべく協力するから」と伝えた。
それからはよく私に相談をしてくれて困りごとがあれば詳しい人にアテンドしたり
技術的なアドバイスだったりを彼にした。
時には別の担当をなぜか任されたりと振り回されることが多かったがお願いされるたびに元気そうな姿に私は安堵した。
そうして途中でリタイアすることなく着実に実績を積んでいき彼は去年と比べて格段に成長した。
一人で会議もこなすし客先との交渉も立派にやり遂げている。
その成長ぶりに誇らしく思うと同時に一人のエンジニアとして少し嫉妬してしまうほどである。
今現在彼の案件でトラブルがありそれの対応に追われている。
そんな中彼から退職の話をされた。
どうやら年内で辞めてしまうらしい。
ああ、また仲間がいなくなるのかとひどくショックを受けた。
その時彼は「今のプロジェクトが僕がいる間に完了できれば最高なんですけどね(笑)」と冗談っぽく私に言った。
もともと客先に提示していたスケジュールは年内には終わらない。
私も終わるはずないと思っていたがその時私の中で何かがこみ上げた。
別に彼の発言に怒りを覚えたわけではない。
むしろこれから旅立つ彼に有終の美を飾ってあげたいと思ったのだ。
これまで頑張った彼の仕事がどうなったかわからないまま終わるのは悲しいと思った。すっきりした気持ちで会社を辞めてほしい。
やってやろうじゃねぇかと奮い立った。
それは軽音学部だった私がマイクをもってステージに立つ前のアドレナリンが出た状態に近かった。
私はそれからあの手この手を使って納期を半分に短縮し、ちょうど彼が退職の挨拶に回る日に彼のお願い通りプロジェクトを完了させた。
彼は本心どう思ったかはわからないが、
彼に転職祝いとしてプロジェクトを年内に完遂できてほんとによかったと思う。
会えなくなるのは寂しいが転職先でうまくいくといいな。
ちょっとネガティブな話題で仕事納めを終えてしまったのだが。
明日から連休だ。
思いっきり羽を伸ばそうと思う。
それでは また明日